ワンストップ特例…ふるさと納税と医療費控除を両方適用したい人はご注意ください。
こんにちは、千葉の女性税理士・竹山百代です。新年明けたと思ったら、すぐに源泉税の納付額の計算や法定調書の作成など、わらわらと慌ただしいばかりの毎日です。今日は、税理士会から注意喚起のFAXがきましたので、ふるさと納税(寄付金控除)について書きたいと思います。
毎年年末近くなるとテレビや雑誌などでたくさん取り扱われるふるさと納税。今年は、確定申告が不要なワンストップ特例が設けられて、さらに利用いやすくなるということで、ふるさと納税をされた方も多くいらっしゃるかと思います。
ふるさと納税は、確定申告では自治体への寄付に対する寄付金控除の適用となります。この寄付金控除を受けるために、昨年の確定申告までは、申告書の所定の場所に寄付金控除の金額を記載して提出するという手間がかかったわけですが、今年は条件が合えば、確定申告をする必要なく(申請書の提出をしなければいけませんが)寄付金控除を受けることができて、所得税や住民税の軽減ができるというわけです。
確定申告不要のワンストップ特例ってどんなもの?
特例を受けることができる条件
平成27年4月1日以降にふるさと納税をした。
ふるさと納税したのは5自治体以下である。
特例申請書を提出した。
その年に医療費控除などをうけるための確定申告をしない。
平成27年4月1日以降に行ったふるさと納税について、このワンストップ特例が適用できます。
(平成27年1月1日から3月31日までのふるさと納税についてはこの特例は適用できません。)
その年のふるさと納税をした市町村が5自治体以下である場合、その自治体に「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」を提出すると、確定申告書の提出をしなくても、所得税、住民税がの寄付金控除の適用を受けることができます。
混雑した税務署には行きたくないし、確定申告書を書いたりするのも面倒だから、ワンストップ特例いいわぁ~と思ったあなた。このワンストップ特例の適用については、注意事項があります。
注意①
平成27年3月31日以前に行ったふるさと納税には適用できません。
平成27年3月31日以前のふるさと納税について寄付金控除を受ける場合は、
確定申告をしてください。
注意②
各自治体にワンストップ特例申請書を
提出している場合でも、
医療費控除の適用を受けるためなどで
確定申告をする場合は、
確定申告をすると、
ふるさと納税のワンストップ申請は
なかったものとみなされます。
確定申告をする場合は、
ワンストップ申請をした分の
ふるさと納税に係る寄付金控除を含めて
確定申告をする必要があります。
自営業者や不動産所得がある人など、もともと確定申告をしなければいけない人は、ワンストップ特例はそもそも利用できないということです。
また、毎年確定申告はしていないけど、医療費控除のために今年は確定申告をするという人は、特に注意してください。ふるさと納税についてはワンストップ特例申請しているので大丈夫!!ということはなく、再度申請をした金額も含めて申告書を記載しなければいけません。この点忘れやすいですのでご注意ください。
所得税と住民税はどのように還付されるの?
自治体に申請書を提出するので、住民税の軽減が受けられるのはわかりますが、軽減された所得税(国税)はどのように自分に還付されるのか?通常ならば、確定申告をして減額された所得税は、確定申告書に記載した自分の口座に入金されることで還付を受けますが、このワンストップ特例では、申請書などに自分の銀行口座番号を書くことはありません。
では、どのように還付されるのか?
ワンストップ特例を適用する場合は、所得税が口座に入金という方法で直接還付されることはありません。
所得税に関しては、寄付金控除により軽減される金額が、ふるさと納税を行った翌年の6月以降に支払う住民税から減額されるという形で自分に戻ってきます。
つまり、所得税の軽減分は、住民税の納付額の減額という形で還付されます。
毎年新たな制度ができて、どんどん便利になるので、新たな特例はすぐに使いたいと思いますが、適用要件を注意して使わないと、受けようと思っていた税額控除が受けられなくなるということもあります。各種特例の適用申請前には、適用要件をよくご確認ください。