医療費控除・・・よくある質問

こんにちは、千葉の女性税理士・竹山百代です。

随分間が開いてしまいましたが、引き続き医療費控除についてです。
重複する内容も出てくるかもしれませんが、国税庁HPの医療費控除についての記載から、よくある質問について書いてみました。

国税庁HPのタックスアンサーには医療費控除について以下の通りに書いてあります。
[平成27年4月1日現在法令等]

医療費控除の対象となる医療費は次のとおりであり、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされています。

① 医師又は歯科医師による診療又は治療の対価
(ただし、健康診断の費用や医師等に対する謝礼金などは原則として含まれません。)

② 治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価
(風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金は医療費となりますが、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費となりません。)

③ あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価
(ただし、疲れを癒したり、体調を整えるといった治療に直接関係のないものは含まれません。)

保健師、看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話の対価
(この中には、家政婦さんに病人の付添いを頼んだ場合の療養上の世話に対する対価も含まれますが、所定の料金以外の心付けなどは除かれます。また、家族や親類縁者に付添いを頼んで付添料の名目でお金を支払っても、医療費控除の対象となる医療費になりません。)

⑤ 助産師による分べんの介助の対価

⑥ 介護福祉士等による一定の喀痰吸引及び経管栄養の対価

介護保険制度の下で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額

一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額

「特に高額になる医療費」とあるので、よくある誤解が保険適用になる治療でないと医療費控除の対象にならないのではないか・・・と思われているということです。
保険のきかない自由診療になるもの、例えばインプラントや歯の矯正治療等、近視治療のレーシック治療費等が高額になるケースが多くありますが、結論から言えば、診療目的の治療であれば医療費控除の対象になります。
国税庁タックスアンサー 歯科治療費について
もちろん、治療目的と明記してありますので、美容整形等の審美目的であれば医療費控除にはなりません。インプラントの費用も、審美目的でなく治療目的であれば医療費控除の対象です。問題は「特に高価な部分」とはいくらまでか・・・ということですが、申し訳ありませんが、一凱にいくらまではOKいくら以上はNGとは言い切れません。確認をしたい方は、税務署に個別にお問い合わせください。
近視治療については、最近ではレーシック治療の他にオルソケラトロジー(角膜矯正療法)という治療法があるそうです。いずれも、医師が眼の機能それ自体を医学的な方法で正常な状態に回復させることを目的としてなされるものでありますから、その治療の対価は医療費控除の対象となります。

医薬品の購入の対価

上記箇条書きにもあるように、病気の予防や健康増進のために購入したもの対価は、それが医薬品に該当するものであっても、その購入代金は医療費控除の対象とはなりません。
医療費控除の対象となるものは、あくまで治療や療養に必要なものだからです。
ですから、風邪の治療のために医師の診察を受けていなかったとしても、風邪をひいたときに市販の風邪薬を購入した場合は、病気の治療目的の支出ですから医療費控除の対象になります。
反対に、医師に「もう少し体調に気を付けて栄養バランスを考えた食生活をしてくださいね。」とアドバイスを受けたので自宅で低カロリー低塩分の食品を購入して食事療法をしていたとしても、その食事療法の目的は健康維持管理のためですから、治療や療養に必要医薬品の購入には当たらず、医療費控除の対象にはなりません。また同様に、病気の予防や健康増進のためのビタミン剤などの購入費用は医療費控除の対象にはなりません。

保健師、看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話の対価

この場合の療養の場所は、病院か自宅かは問いません。療養上の世話を特に依頼した人(ヘルパーさんなど)に自宅でお世話したもらった対価も医療費控除の対象になります。
ただ、支払った費用がすべて医療費控除の対象になるとは限りません。その費用は療養上の費用なのか家事手伝いの費用なのかを明らかにする必要があります。厚生労働省はヘルパーを派遣する市町村の在宅介護サービスの供給主体等に患者名、病傷名、介護内容、介護費用等を明確に記載した証明書を発行するように要請していますので、費用を支払った際に領収書に医療費控除の対象になる金額が明記してあるはずです。金額の内容がわからない場合は、事業者さんに問い合わせをしてみましょう。

介護保険制度の下で提供されたサービスの自己負担額

医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価

医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービスの対価

要介護者が介護サービス事業者などから受ける施設サービスや居宅サービスについても、一つ一つ具体的に列挙していくと膨大な文章量になってしまいますので、国税庁HPのタックスアンサーの介護保険制度を利用したときに係るサービスの対価についてのページをリンクしておきます。
介護保険制度の下で、要介護者が提供を受けるサービスの対価のうち、医療費控除の対象になるものは、療養上の世話等に相当する部分の金額です。
厚生労働省は、医療費控除の対象となる金額を明らかにするため、その領収書に対象となる金額を明記するように、各関係施設を指導していますので、サービス利用料の領収書をご確認してください。