「売上計上するの忘れてた‼」じゃすまない…商品などを使う場合などの経理処理

こんにちは、千葉の女性税理士・竹山百代です。

売上の計上で一番注意しなければいけないのは、ズバリ計上もれです。 最も悪質な脱税行為です。
故意に売上の金額を少なく計上するのはもってのほかですが、自分でも知らないうちに売上計上もれしていることはごくたまにあります。
前回書いた、売上計上基準日を間違えるなどの原因で計上もれすることもありますが、そのほかに、それが売上になるとは思っていなかった場合や、売上に計上するべき金額が違っていて「売上計上もれだ」といわれる恐れのある取引などもあります。

例えば、お店で販売する商品や、会社で仕入れたものを、家族や会社関係者が自宅用として使用したり、ただで役員や従業員にあげたり、社内販売で安い価格で販売する場合など。

そのような場合の経理処理はどのようにしたらいいのでしょうか?

経理処理の方法は、個人事業と法人では違います。

個人事業には「家事消費」という言葉があります。商品などを個人事業主やその家族が使ったり消費したりすることです。
法人には「家事消費」という考え方はありませんが、「資産の贈与」や「社内割引販売」を「家事消費」と同じような考え方で処理をします。

事業用の商品や資産が使われたり消費されたりするのですから、もちろん経理処理をしないといけないのは大体わかります。問題は、「いくらで?」ということです。

この金額の決め方が個人事業と法人では変わってきます。その際、影響してくるのが、法人税法、所得税法、消費税法です。

細かいことを言っていくと話は長くなりますが、

法人税法、所得税法、消費税法では「家事消費」や「資産の贈与」、「社内割引販売」があった場合、原則として、「時価」を譲渡価格とするよう…つまり「時価」で売上計上するように決められています。でも「時価」ってわかりづらいですよね。なので、「時価」がわからない場合、法人税法と消費税法では、商品の仕入価格以上の金額または販売価格の50%以上の金額で売上計上すると決められています。法人税と消費税では50%という割合が出ましたが、所得税法ではその割合の数字が違います。所得税法では、仕入価格以上または70%以上と決められています。

個人事業の税金の計算には所得税法と消費税、法人の税金の計算は法人税法と消費税が関係してきますから、その違いで個人事業と法人との経理処理の方法が変わってきます。

 

個人事業の「家事消費」の経理方法

お店の商品などを自家用に使ったり食べたりした場合

  1. 仕入価格
  2. 販売価格の70%

いずれか高い金額を「家事消費」売上金額の最低限度額として計上します。

家事消費を計上する場合、1か月毎または決算時に一括して家事消費売上の金額を計算し計上するのがよいでしょう。

法人の「資産の贈与」の経理方法

    1. 商品の仕入価格
    2. 商品の販売価格の50%

1または2の金額を下回らない金額で計上する。

給与として処理し、仕入金額を給与へ振替える。

処理例

20,000円で仕入れた商品(販売価格は30,000円)を役員または従業員へ0円で贈与した場合

(役員報酬)または(給与)20,000円/(仕入)20,000円

となります。

この場合は、
・源泉徴収が必要な場合がある
・役員報酬は定期同額でなくなるので税金計算の際損金にならない。
ので経理処理をする際は要注意です。

また贈与でも、永年継続の記念品、創業記念品については、福利厚生費として処理できる場合もあります。

法人の「社内割引販売」価格の決め方

    1. 商品の仕入価格
    2. 商品の販売価格の50%

1または2の金額を下回らない金額で計上する。
1または2の価格を下回る価格で社内販売をした場合は、下回っている分の金額が給与認定される場合もあります

処理例

販売価格10,000円、仕入価格5,500円り商品を状業員に販売する場合の社内販売価格の決め方は

  1. 商品の仕入価格5,500円
  2. 10,000円×50%=5,000円
    1>2  ∴5,500円を下回らない金額で販売すれば、給与認定されることなくそのままの金額で売上計上できる。

社内の割引販売などの価格を決定する場合は、給与認定される可能性のある金額が出ないような値段の決め方をしましょう。

 

以上のように、売上に計上する金額は、お客様へ販売した金額だけではありませんので、注意が必要です。

 

 

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