自動車など金額の大きいものを買ったときの処理
こんにちは、千葉の女性税理士・竹山百代です。
今日は、「固定資産」を購入して「資産計上」をしたのち「減価償却」をしなければいけなくなったときの注意点です。
昨日の記事のフローチャートで判定した結果、「固定資産」に該当することとなった場合は、支払った金額の全額を一度で経費計上できません。
「資産計上」→「減価償却費の計上」という二段階の処理が必要になります。
資産計上時には、資産として計上する「取得価格」を確認します。
「取得価格」に計上する金額は、固定資産の本体価格のほかに、購入時にかかった以下のような付随費用も「取得価格」に含めないといけません。
・購入時に要した付随費用(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税など)
・使用するために要した付随費用(そなえ付け費、試運転費など)
・土地や建物購入時に、借地人や借家人に支払った立退料など
・未経過固定資産税の額(中古不動産等を購入したときによく出てきます)
など
反対に、次のような費用は「取得価格」に含めず、支払った年の経費として処理することができます。
・不動産取得税、自動車取得税
・登録免許税、その他登記または登録のために要する費用
など
できるだけ経費計上する金額を多くするためには、「取得価格」の計上をする際にも、支払った金額の明細を確認してみるとよいでしょう。
減価償却費のおもな計算方法には、定額法と定率法があります。
事業開始時に、税務署にご自分の事業所の採用する減価償却方法の届出書を提出した場合は、その採用した方法によります。届出書を提出していない場合は、法定減価償却法が適用されます。
法定償却方法
法人・・・定率法 (法人でも、平成19年4月1日以降に取得した建物は、定額法が適用されます。)
個人事業者・・・定額法
(平成19年度の税制改正があったため、平成19年3月31日以前に取得した固定資産の減価償却方法は別途規定があります。)
それぞれの特徴と計算方法は以下の表のとおりです。
定額法 | 定率法 | |
特徴 | 償却費の額が原則として毎年同額となる。 | 償却費の額は初めの年ほど多く、年とともに減少する ただし、定率法の償却率により計算した償却額が「償却保証額」に満たなくなった年分以後は、毎年同額となる。 |
計算方法 | 取得価額×定額法の償却率 | 未償却残高×定率法の償却率(以下「調整前償却額」という。) ただし、上記の金額が償却保証額に満たなくなった年分以後は次の算式による。改定取得価額×改定償却率 |
定額法は、毎年同額の減価償却費を計上するので、計算が簡単ですし、経営計画を考えるときの経費予測計算がしやすいですが、経費化が定率法と比べると遅いです。
定率法は、早期に多くの減価償却費を計上していく方法です。固定資産で計上した支出を早く経費化するにはよい方法ですが、計算が難しいです。
いずれの方法をとっても、耐用年数中に減価償却費として計上する金額は同じです。支払った金額を経費化できるタイミングが違うだけです。