支払った金額の全額が今年の経費になるわけではない

こんにちは、千葉の女性税理士・竹山百代です。

事業を開始すると、いろいろな支出があります。

事業のために支払ったものであれば、全額経費にしたいですよね。

ところが、会計には面倒な決まりがあって、支払った金額の全額がすぐに今年の経費になるものと、一旦「資産計上」をしたのち、数年に分けて「減価償却」をして経費計上するものとがあります。
この、全額経費にできない決まりのために、実際に支払った金額と経費計上の金額の差ができて、現金の収支計算をすると損失が出ているのに、決算で損益計算をすると、なぜか収益(もうけ)が出ているという奇妙な現象が現れます。

 

経費として認められるかの判定は、金額の大小ではなく、効果のある期間で判定します。

例えば、一時的な広告等(花火とか一日限りのテレビCMとか)は金額がものすごく高くても支出した年の経費になります。

金額が少なくても、効果が長く及ぶもの(私の電卓は3,000円で購入しましたが、もう15年以上使用しています)は、効果のある期間で判定すると有形固定資産となります。ただ、このような少額なものをいちいち資産計上して減価償却するなどしていると大変手間がかかります。

 

下の判定フローチャートを参考にしてください。

(上手にパソコンで絵が描けなかったので、見にくくてすみません<m(__)m>)

効果が一年以上ーーーーNOーーーーー→ 
↓YES                    
形のあるものNOー→20万円以上ーNO→ 
↓YES             ↓YES      
青色申告NO→10万円以上ーNOーーー→ 
↓YES        ↓YES  ↓      
30万円以上であるーーーーーNOーーー→
↓YES        ↓    ↓
一回で経費計上せず
固定資産、繰延資産に計上したのち数年に分けて経費化する  

一回で経費に計上できるもの(形のある10万円未満のもの、青色申告者の形のある30万円未満のもの、形のない20万円未満のもの)は、その支出の性質によって適切な勘定科目で経費として計上します。
(消耗品、広告宣伝費など)

固定資産、繰延資産には次のようなものがあります。

固定資産(形のある10万円または30万円以上のもの)
有形固定資産
・建物
・機械設備
・車両運搬具
・工具器具備品
無形固定資産
・ソフトウエア
・特許権
など
繰延資産(形がない20万円以上のもの)
・開業費
・店舗礼金
・フランチャイズ加盟費
など
それぞれの資産の種類ごとに決められた耐用年数と償却率で、減価償却費を計算し、その年の経費に計上します。

また、土地を購入した場合は、その効果は長くありますが、土地は「価値が減らない資産」と考えられています。フローチャートで判定すると固定資産に該当するので、資産には計上しますが、減価償却をして経費計上することはありません。

 

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