「消費税転嫁対策」広告宣伝や値札の表示にも注意しましょう。

こんにちは、千葉の女性税理士・竹山百代です。

引続き消費税転嫁対策についてです。

今日は
2.消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置
3.価格の表示に関する特別措置
について書きます。

2.消費税の転嫁を阻害する表示とは、

「消費税は転嫁しません」や「消費税は当店が負担しています」など、消費税の負担について、消費者に誤認されないようにすること納入業者に対する買いたたきや競合する小売業者の消費税の転嫁を阻害することにつながらないようにすることを目的としています。

消費税転嫁を阻害する表示が禁止されるのは

商品や容器、包装による広告等

見本、チラシ、パンフレット、書面説明、ダイレクトメール、ファクシミリ等

口頭、電話などによる広告

ポスター、看板、プラカード、建物、電車、自動車に記載されたもの

ネオンサイン、アドバルーン、陳列物、実演による広告等

インターネット、パソコン通信等による広告

などです。

こんな表示はダメです!!という例

NG
「消費税は転嫁しません。」
「消費税はおまけします。」
「消費税還元」
など、転嫁そのものを行わないという表示

NG
「消費税率上昇分値引きします。」
「消費税8%分還元セール」
「増税分をレジで値引き」
など、消費税額の全部または一部を値引きするという表示

NG
「消費税相当分をポイント付与」
「消費税相当分の商品券を差し上げます。」
「増税相当分のお好きな商品を一つプレゼント」
など、消費税に関連して経済上のサービスを提供するという表示

これらはみな、あたかも事業者か消費税を負担しているようなイメージを与えます。

 

反対に、次のような宣伝や広告の表示は禁止にはなりません。

OK
「春の生活応援セール」

「新生活応援セール」など、
消費税との関連がはっきりしないもの。

OK
「3%値下げ3%還元」

「2%ポイント還元」など、
たまたま消費率の値上げ幅と一致するだけのもの

OK
「8%値下げ8%還元セール」

「10%ポイント贈呈」など、
たまたま消費税率と一致するだけのもの

OKまたはNGの判断の基準は、
「消費税」という文言を含む表現であっても、消費税分を値引きするなどの宣伝や広告でなければ禁止されることはありません。

「消費税」という文言を含まなくても、「増税分値下げ」「税率引上げ対策還元セール」など「増税」「税」といった文言を用いて実質的に消費税分を値引きするなどの宣伝や広告は禁止されている表示に該当します。

3.価格の表示に関する特別措置

広告宣伝の表示方法の他に、値札などの価格表示の方法にも気を付けないといけません。

小売り段階における値札の価格表示は、原則税込価格の「総額表示」が義務づけられていますが、事業者の事務負担等を考慮して、表示価格が税込価格と誤認されないための措置を講じている場合に限り、総額表示を要しない(税抜価格のまま表示してよい)こととされています。

ただし、遅くとも平成30年9月30日までには総額表示に戻す必要があります。

総額表示義務の特例により税抜価格を明示する例

OK
○○○円(税抜)  ○○○円(税別)
○○○円(本体)  ○○○円+税
○○○円(税抜価格) ○○○円(税別価格)
○○○円(本体価格)  ○○○円+消費税

税率が変更になるときに、事業者の値札の貼り替え作業負担の軽減ができるように、このような表示を容認しています。このような表示方法にしておけば、税率変更があっても値札を張り替えることなく対応できます。

ただし、

NG

表示方法が上記の例の表示になっていても
誤認防止のための表示が、

店内のレジ周辺だけで行われている

商品カタログの申し込み用紙だけに記載されている

インターネットのウェブページの決済画面だけに記載されている

などという場合には、表示方法違反になります。

税込価格を表示する場合には、

税込価格と税抜価格を一般消費者に誤認させないように明瞭に表示をする必要があります。

税込価格が明瞭に表示されている例

9,800円(税込10,584円)←税抜・税込とも同じ大きさの文字

9,800円(税込10,584円)←税込の字が小さいけど見えないわけではない

9,800円(税込10,584円)←税込の字が小さいけど見えないわけではない

表示が明瞭か否かの判断は、

税込価格表示の文字の大きさ

文字間余白、行間余白

背景の色との対照性などで判断されます。

たとえば、下の例では税抜価格が大きな文字で書いてあって、税込価格は小さな字で更に背景の色と対照性の低い色の字で書いてあるのでほとんど判読できません。
このような表示のしかたは、「明瞭に表示」してあるとは言えません。

NG

9800円(税込10,584円)

また、上記以外の判断基準としては、

一般消費者が手に取って見えるような掲示物かどうか。

鉄道の駅構内のポスターや限られた時間のテレビCMなど一般消費者が離れた場所から目にしたり、短時間しか目にすることができないような表示物でないか。

走行中の車の中にいる人を対象とした看板の場合、表示価格が税込価格でないことを歩行者が明瞭に判断認識できるだけでは不十分で、走行中の車の中からでも明瞭に判断できるかどうか、

です。

消費税の表示方法については、お客様に誤解させないような表示を心がける必要があるほかに、消費税の表示方法によっては、適正な消費税の転嫁を妨げる要素となることを認識しておかないといけません。

 

参考:中小企業庁「中小企業・小規模事業者のための消費税転嫁の手引き」

http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/pamflet/2013/131008syouhizei.htm