年末調整・・・預かった以上の源泉税を還付するんですけど・・・会社損しない?
こんにちは、千葉の女性税理士・竹山百代です。
年の途中で転職をしてきた従業員の年末調整をする場合は、前職の源泉徴収票を提出してもらい、前職の給与と自社での支給額とを合算して年末調整をします。
前職での給与支給額が高額で、源泉徴収されている金額が多額の場合、転職後の給与支給額にもよりますが、年末調整をするとその従業員に還付する源泉税の金額が、転職後に会社がその従業員から預った源泉税の金額より多いということがたまにあります。
会社からしてみると、他の会社が預かった源泉税をどうしてうちの会社が還付しないといけないのか・・・それってうちの会社損してない??と考えてしまいます。
しかし、自分の会社で預かった以上の金額の源泉税を還付しても、自分の会社は損しない仕組みになっていますのでご安心ください。
年末調整で従業員全員の預り金不足額と超過額を相殺した金額が、税務署への源泉税の納付額となります。例えば、そのうち一人の従業員が預り金超過となっていて、その従業員に多額の還付をしても、会社全体の税務署への納付額を計算すると、納付額がその多額の還付をした金額分少なくなる計算になります。
計算例
源泉税の預り額 356,000円←年末調整前の源泉税
+預り不足額 50,000円←年末調整で従業員から追加で預る源泉税
-預り超過額 450,000円←年末調整で従業員に還付する源泉税
=源泉税納付額 0円(控除未済額44,000円)
計算例のように、年末調整の結果、従業員に多く還付した場合は、会社全体で税務署に納付する金額が少なくなります。
また、会社が従業員全体から預った源泉税よりも多くの金額を従業員に還付したときは、税務署への納付額は0円になります。それでもまだ源泉税納付額から控除しきれない金額が出た場合は、翌月の納付時に納付金額から控除することができます。
このように会社全体としては、源泉税を還付しすぎて損をするということはありません。
源泉税の納付額がもともと少なくて、納付額から控除しても控除しきれない源泉税が多額で、翌月の納付額から控除してもまだ相殺できない場合は、税務署に還付の請求をすることになります。
還付請求については、国税庁HP源泉所得税及び復興特別所得税の年末調整過納額の還付請求を参考にしてください。
ですが、実務では、還付手続きが面倒などという理由で数か月間相殺し続けている場合が多いですが、会社自体がなくなってしまった場合や、会社の支給する給与の金額が少額で、預かる源泉税が少なすぎて、2か月以上たっても納付額との相殺ができない場合は、源泉所得税及び復興特別所得税の年末調整過納額の還付請求の手続きをして、源泉税を還付してもらいます。